【書評】博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本

”博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本”を読んだ。

著者は博報堂に勤めるひきたとしあきさん。35年のキャリアでコピーやCMを作ってきた人だ。そんないわば短く、わかりやすく伝えるプロによる「思いつく」「まとめる」「伝える」ための25個のメソッドが、主人公山崎大が5日間に渡り実践していくというストーリー仕立てで紹介されている。

仕事をしているとコミュニケーションをとったりプレゼンテーションをしないといけなかったりする。そのたびにどう伝えよう。何か考えないといけないのに全く何も思い浮かばない。という経験をした人は多いと思う。そういう悩みを抱える人におすすめな本だ。

本記事では読んだあと実践してみて良かったメソッドを各章から1つずつ紹介しようと思う。

博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本の目次
Day1 頭の中にあるものを知る
Day2 考える習慣をつける
Day3 論理的に発想する力をつける
Day4 真に伝わる表現力を磨く
Day5 言葉に説得力を持たせる

言葉がパッと出ないのはただ慣れてないだけ

1日目のテーマは「頭の中にあるものを知る」

この章で出てくるトレーニング「30秒で、ものの名前を10個言う」を紹介したい。

何か質問されたり何か発言しようとしたりするとき、思ったことをパッと言葉にできなかった経験はないだろうか?

スラスラ話せないと自分はボキャブラリーがない。頭の回転が遅い。と感じてしまう人もいるだろう。

しかしこれはボキャブラリーがないという理由ではなく、すぐに言葉が浮かんでこないだけかもしれない。

そのすぐに言葉が浮かんでくるようにする方法が本書で紹介されている

「30秒で、ものの名前を10個言う」トレーニングだ。

「30秒で、花の名前を10個言う」「30秒で、ヨーロッパの10都市の名前を言う」「30秒で、売れている小説家の名前を10人言う」、なんでもいい。短い時間の中で、ものの名前がパッと浮かぶ訓練を繰り返すんだ。これを続けているうちに、湿ってなかなか火がつかなかった言葉の花火が、脳みその中でバンバン上がるようになる。嘘じゃない。

言葉がスラスラ出てくるというのはタンスの中から言葉を探すのではなく、花火のようにバンバン打ちあがるイメージだそうだ。

30秒間で脳味噌をフル回転させて質問の答えを言葉を口に出す。これを繰り返すことで自分の中にインプットされている言葉が出やすくなってくる。

このトレーニング。実際にやってみると得意なジャンルなら10個スラスラ出るけど、それ以外はめちゃめちゃ難しい。花の名前なんて10個くらいすぐ出そうなものだけど意外と出てこない。そして30秒経った後に「あれもあった。これもあった」ってなる。

誰かと一緒にやるとクイズ形式になって結構楽しい。何より頭の体操になるので試しにやってみて欲しい。

「なぜそうしたのか?」日々の行動に理由づけをする

2日目のテーマは「考える習慣をつける」

この章からは「日頃の何気ない行動一つにも、理由づけをする」メソッドを紹介したい。

自分がとった行動に対して「なぜそうしたのか」を聞かれたときにすぐに理由が見つからず「なんとなく」や「この方がいいと思ったから」と答えたことはないだろうか?僕はめっちゃある。

これは日頃から「なんとなく」行動しているのが原因だ。逆に言えば日頃から「なんで、そうしたのか」と考える脳のクセを作れば、自分の行動に対して理由を聞かれたときに即座に語れるようになってくる。

行いの源は、頭の中にあるんだ。大くんの行動は、すべて脳の命令なんだよ。だから、自分がいま行なっていることに対して、脳がどんな命令を出したのかを考えることが大切。それが、自分をコントロールする一番の近道なんだよ。

お昼ご飯にラーメンを食べるとしてなぜラーメンを食べるか考えてみる。「急に気温が下がって、温かいものを食べたくなったから」などの理由が見つかればそれが「行いの源」と言える。

そんな感じで日頃の行動、「なぜテレビをつけたのか」「なぜ今この音楽を聴こうと思ったのか」など自分がとった行動にどんな理由があったのかを考えてみる。理由を考えるクセをつける。

仕事でも脳の出した命令を自分で復唱しながら動くことで「〜なので、〜した」と考え、理由を述べられる脳体質に変わっていく。

脱なんとなく人間。

物事を深堀するための「5つのWHY」

3日目のテーマは「論理的に発想する力をつける」

この章からは先ほどと少し似ているメソッド「物事の真意を知るため、「なぜ」を5回投げかける」メソッドを紹介したい。

行動に対して「なぜ」を1度問いかけることで、行動理由がわかる。繰り返すことでもっと根本な理由が見えてくる。これは課題解決に取り組むときに役立つ手法である。

本書では具体的な方法としてトヨタ生産方式の生みの親「大野耐一」さんが考案した「5つのWHY」が紹介されている。

この「5つのWHY」は、物事を深く考えるときにはとても役に立つ方法だよ。例えば、「いまの部署が自分に合わない」としよう。

・「なぜ合わないのか」→「若者が私1人だから」

・「なぜ若者が私1人だと合わないのか」→「周りの考え方が古くさいから」

・「なぜ考え方が古くさいと合わないのか」→「ネットに対する考え方が違うから」

・「ネットに対する考え方が違うとなぜ合わないのか」→「企画が通らない」

と考える。すると、いまの部署がつまらない根本は「企画が通らない」ところにあるんだ、なんて気づくわけだ。

「なぜ」を繰り返し投げかけて深掘りしていくことで本当に取り組むべき本質的なものや悩みの原因が見えてくる。

何かに取り組むとき手段と目的が入れ替わってしまうことがある。そう言ったときにもなぜを繰り返し目的を明確化していくことで、課題解決や商品開発をするときなどの羅針盤がわりになってくれそうだ。

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実際に動かして欲しい体の動きを文章に入れて伝わる表現に

4日目のテーマは「真に伝わる表現力を磨く」

この章からは「動かしたい動き」を具体的にたくさん入れてみよう」というメソッドを紹介したい。

論理的思考を身につけると文章で伝えるのがうまくなる。モノゴトの必要な箇所を抽出して順序立てて説明できるからだ。

けどその書き上げた文章を見てイマイチ心に刺さらないなぁと思うことはないだろうか?パッと見は整っていて読みやすく良い文章。けど、なんというかキレイなだけという文章。

どうせ書くならキレイなだけでなく人の心に残る、読んだ人の行動を変える文章を書きたいものだ。

しかし人は文章に良いことが書いてあってもその人の行動が変わることが少ないと思う。それは読み手が具体的に何をすれば良いかわからないからだろう。

逆に言えば具体的な体の動きを加える、つまり「動詞」をたくさん入れると読んだ人の行動を変える文章になるということだ。

例えばヨーグルトを相手に薦めたいとする。このとき「美味しいから食べてね」だけで実際に食べてくれる人はあなたとすでに親しい人くらいだ。

「おばあちゃんが笑ってる。ママが鼻歌を歌ってる。いつもは眠たそうな娘までが機嫌がいい。このヨーグルトを食べてから、朝の景色が変わった」

同じくヨーグルトをすすめている文章だけどとても具体的だ。頭に映像が浮かんでくるような感じがある。

これはセールスライティングなんかでよく用いられる手法だ。それをすることでどんな未来が待っているか具体的に提示すると人は行動してみようとなる。

「このヨーグルトには〇〇が入っている」とかの製品情報は人が行動する上では結構どうでも良かったりする。それよりもそのヨーグルトを食べることで未来がどう変わるのかを具体的に教えてあげるとより多くの人に刺さる文章になる。

自分の言葉にリアリティを持たせる

5日目のテーマは「言葉に説得力を持たせる」

この章からは「メモ帳を持って街へ行こう」というメソッドを紹介したい

何かを伝えようとするときその話にリアリティがないと相手には信じてもらえない。

例えば化粧水をすすめている人がいたとする。一人はその化粧水を作った企業の人。もう一人は実際にその化粧水を使っている一般人。どちらの意見を聞いてより買ってみたいと思うだろうか。

もちろん一概には言えないけれど、今の時代、一般の消費者の声を信じる人も一定数いると思う。それは企業の人は「そりゃ自社製品なんだから良いところばっかいうに決まっている」というのもあるし、それ以上に一般の消費者にリアリティを感じるという部分があるからだろう。

何かを買うときどこかにいくとき公式ページだけでなく、レビューをみてしまう人は多いと思う。レビューには公式ページには紹介されないリアルな感想が赤裸々に綴られている。

人から発せられた血の通った言葉。これを「肉体語」というんだ。会議の席でもプレゼンの場でも、「肉体語」を駆使して語る人には説得力がある。

リアリティを自分の言葉にも宿すにはあらゆる肉体語を拾い集めていく地道な努力が必要だ。肉体語は街中にあふれている。メモ帳を携帯して日々聞こえてくる人々の声、耳に残った言葉をメモするクセをつけると良いだろう。